鎌倉と安房国、清澄寺と虚空蔵信仰 2-1

2 「物部姓」が刻まれる各地の梵鐘を訪ねて

最初に、関東地方にある物部氏鋳造の梵鐘を見ていこう。

館山市の山中にある小網寺(こあみじ)

和銅3(710)行基による開創と伝える。宗派は安房国に多い真言宗智山派だ。

 

小網寺・鐘楼にある梵鐘の鐘銘には、製作年である弘安9年(1286年)の紀年、製作者・大和権守物部国光(やまとごんのかみもののべのくにみつ)が「金剛山 大荘厳寺」(小網寺の古称)のために作成したことが刻まれている。

 

梵語で「大随求陀羅尼」(だいずいぐだらに)を刻む。

 

小網寺の古称「金剛山 大荘厳寺」を刻む。

物部姓鋳物師(いもじ)は河内の国丹南郡を中心とした鋳物師集団で、執権北条氏の要請を受けて同じ河内の国を本拠とする丹治、大中臣、広階氏と共に東国にくだり、建長4(1252)から始められた鎌倉大仏(浄土宗高徳院・銅造阿弥陀如来坐像)を鋳造したとされる。以降、物部氏は執権北条氏一族や、幕府有力御家人により開創された寺院の梵鐘を鋳造している。

 

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