鎌倉と安房国、清澄寺と虚空蔵信仰 2-5

                          館山市 藤原
                          館山市 藤原

北条時頼創建の建長寺、時宗の円覚寺、実時の称名寺、宗長の東漸寺、相模国・国分尼寺、武蔵国・慈光寺の梵鐘を物部氏が鋳造したということは、従来から言われているように、執権北条氏や幕府有力御家人と物部氏が深い関係にあった、物部姓鋳物師は幕府お抱えの鋳物師であったことを示すものだろう。

 

               小網寺の説明板
               小網寺の説明板

 

 

 

 

小網寺に伝わる鋳銅(ちゅうどう)密教法具の内、金剛盤(こんごうばん)、羯磨台(かつまだい)、花瓶(けびょう)には、「金沢審海」の銘が刻まれており、現在の横浜市金沢区にある真言律宗・称名寺の開山に招かれた、下野薬師寺の僧・妙性坊審海ゆかりの品であるとのことだ。

               小網寺の説明板
               小網寺の説明板

 

 

 

 

小網寺観音堂の本尊「木造聖観音立像」は、12世紀頃の制作と考えられる藤原様式のもので、館山周辺には相当数の藤原仏(平安時代後期の仏像)があるようだ。

 

 

 

 

 

     観音堂への石段

 

 

 

 

 

見上げると寒々とした木々が

 

 

 

 

 

 

    小網寺 観音堂

              江の電 極楽寺駅
              江の電 極楽寺駅

 

 

 

平成8(1996)、館山市国分地区の萱野(かやの)遺跡の中世の溝より70点ほどの瓦が出土。その内10数点の瓦には北条氏家紋の三鱗の文様がついており、鎌倉の鶴岡八幡宮寺、極楽寺、建長寺、東勝寺などと関係した寺院ではないかと推測されている。

                  極楽寺
                  極楽寺

 

 

 

 

 

特に極楽寺の鎌倉後期の瓦との酷似が指摘され、そこに寺院が存在したとしたら、それは真言律宗の可能性が高いとされる。

             鴨川市 打墨付近
             鴨川市 打墨付近

このような幕府お抱えの鋳物師・物部国光の鋳造による「金剛山 大荘厳寺」の梵鐘、同寺観音堂本尊の藤原様式の観音立像と館山一体の藤原仏、萱野遺跡出土の瓦等は、当時の安房・房総一帯が鎌倉幕府の政治・経済の後背地であったことの一端を示すものだろう。また、「金剛山 大荘厳寺」伝来の鋳銅密教法具に、金沢北条氏が開基した称名寺の開山となった「金沢審海」の銘が刻まれていることは、金沢北条氏の安房進出と称名寺・真言律宗の同地での展開を物語っていると思う。

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